社会性と顔認識
社会性があるアシナガバチ(P. fuscatus)と社会性がないアシナガバチ(P. metricus)の比較
P. fuscatusは顔認識を行う能力を備えている
社会性と顔認識能力の強い関連性を示唆
私たちはごく当然に他者の顔を見分けるということを日々行っていますが、全ての種が他者の顔を識別しているのでしょうか?
もちろんそうではありません。
顔認識には非常に高度な能力が求められるので、顔認識を行う必要がない種ではもちろんそんな無駄な能力は発達しないでしょう。
今回は顔認識ができるかどうかを近縁のアシナガバチで比較した研究を見てみましょう。
この研究では社会性があるアシナガバチ(P. fuscatus)と社会性がないアシナガバチ(P. metricus)を比較しました。
P. fuscatusは複数の女王がコロニーの創設に関わりますが、P. metricusでは単独の女王がコロニーの創設に関わる為、前者は社会性があり、後者は社会性がありません(どちらにせよハチは協力し合うので、社会性がないというのは適切な表現ではないかもしれません)。
研究の結果、P. fuscatusは顔認識を行う能力を備えていることがわかりました。
これは、個体識別の必要性がある種、つまり社会性がある種では顔認識の能力が発達しているというわけです。
参考文献:
Sheehan, M. J., & Tibbetts, E. A. (2011). Specialized face learning is associated with individual recognition in paper wasps. science, 334(6060), 1272-1275.