引越しと平等主義、忠実なヘルパーの好み
引越しがヘルパーのタイプに対する選好とどのように関係するか調べた研究
引越しが多い人は友達と見知らぬ人を平等に助けてくれる人を好む
反対に、引っ越しが少ない人は見知らぬ人よりも内輪の人を優先的に助ける人を好む
ずっと仲の良かった友達と離れ離れになる悲しいもの。
心機一転、新しい土地で頑張るきっかけになるもの。
どちらにせよ、引越しはすでにある関係から人々を引き離し、新しい土地で部外者となることを強いることになります。
もちろん、環境が変わるということは、個人が対処しなければいけない問題も変わるということを意味しますので、引越しは必然的に人々の価値判断に影響を与えることになります。
今回は、引越しがヘルパーのタイプに対する選好とどのように関係するか調べた2012年の研究を見てみましょう。
この研究によると、引越しが多い人は友達と見知らぬ人を平等に助けてくれる人を好む一方、引っ越しが少ない人は見知らぬ人よりも内輪の人を優先的に助ける人を好むことがわかりました。
つまり、新しい土地に移動してきた人は部外者になりますので、手助けをしてもらえる為には、友達でも見知らぬ人でも分け隔てなく助けてくれる人を好む方がそうでないより望ましいのです。
しかし、引越しを行わない人にとってはどうでしょうか?
友人でも見知らぬ人でも分け隔てなく助けてくれる人は望ましいでしょうか?
(一般の人々が考える道徳という面では望ましいかもしれませんが)進化心理学の予測と実際にこの研究で確かめられた結果からはそうとは言えません。
流動性が低い人々にとって、見知らぬ人に多く手助けをする人は言わば“裏切り者”なのです。
参考文献:
Lun, J., Oishi, S., & Tenney, E. R. (2012). Residential mobility moderates preferences for egalitarian versus loyal helpers. Journal of Experimental Social Psychology, 48(1), 291-297.