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勝者と敗者はどっちが大きい?

勝者と敗者のサイズ判断


勝敗と大きさの関係を「じゃんけん」を使って調べた2017年の研究
実験1:ジェスチャー間(例:グーとチョキ)の勝ち負けを判断する際に、勝者(ジェスチャー)が大きく敗者(ジェスチャー)が小さい場合には勝者(ジェスチャー)が小さく敗者(ジェスチャー)が大きい場合に比べて反応が速かった
実験2:事前に呈示されたジェスチャーに対応するようにサイズを調整してもらうと、勝ったジェスチャーは負けたジェスチャーよりも大きく推定された

勝者と敗者と聞くとみなさんはどのようなイメージを持ちますか?


「勝者の方が幸せそうで、敗者の方が悔しそう」とか「勝者の方が強そうで、敗者の方が弱そう」


などなど、色々な感じ方があるかもしれませんが、今回はサイズについて考えてみましょう。


進化の観点で考えると、勝敗とサイズには一定の関連がありそうです。


昔読んだ漫画では、「小さい方が素早く動けるという利点があり、それを活かせば大きな相手にも勝つことができる」というようなことが書かれており、なるほど!と希望を抱けたものですが、現実はそう単純ではありません。


大きなことは勝敗において強い影響を及ぼします(オス同士の争いが激しいほど、オスがメスに比べて大きくなったりすることが良い例です)。


勝敗と大きさの関係を「じゃんけん」を使って調べた2017年の研究を見てみましょ(この研究は実験の手続きも面白いです)。


実験1では、ジェスチャー間(例:グーとチョキ)の勝ち負けを判断するという課題でした。


単に判断してもらうのではなく、ジェスチャーのサイズが異なっており、勝者(ジェスチャー)が大きく敗者(ジェスチャー)が小さい場合と勝者(ジェスチャー)が小さく敗者(ジェスチャー)が大きい場合がありました(人物のサイズではなく、ジェスチャーの大きさが違うという点には注意です)。


反応速度を比べた結果は、「勝者が大きく敗者が小さい場合には勝者が小さく敗者が大きい場合に比べて反応が速かった」というものでした。


これは、事前の抽象的な概念(勝者は大きく、敗者は小さい)に反することが、参加者に余分な時間をかけさせた(干渉した)と考えられます。


実験2では、事前に呈示されたジェスチャーに対応するようにサイズを調整してもらうというものでした。


その結果、「勝ったジェスチャーは負けたジェスチャーよりも大きく推定された」ことがわかりました。


実験1と2からわかることは勝敗とサイズの間には双方向の関係が見られるということです。


認知システムが進化の影響を受けていることが示唆される良い例です。


参考文献:


Yu, W., Sun, Z., Zhou, J., Xu, C., & Shen, M. (2017). Humans conceptualize victory and defeat in body size. Scientific Reports, 7(1), 44136.

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