Inattentional blindnessと3つの仮説
どのような対象が視覚的な注意を引くのかについて3つの仮説を検証した2016年の研究
snake detection hypothesis(ヘビは他の全ての物体よりも検出されやすい)
animate monitoring hypothesis(生物は無生物よりも検出されやすい)
threat superiority hypothesis(危険なものほど検出されやすい)
2つの実験(予期せぬ物体が線画の場合と写真の場合)で支持されたのはanimate monitoring hypothesisであった
進化心理学の授業では、「ヘビ検出」という話がよく出ます。
祖先の環境において脅威であったヘビに対する反応が他の生物や無生物とは異なるというような話です。
しかし、それは本当なのでしょうか?
祖先の環境において脅威であったとしても、本当に他の生物よりもヘビの方が脅威だったのでしょうか?
どのような対象が視覚的な注意を引くのかについて3つの仮説を検証した2016年の研究から考えてみましょう。
仮説は以下の3つです。
1. snake detection hypothesis(ヘビは他の全ての物体よりも検出されやすい)
2. animate monitoring hypothesis(生物は無生物よりも検出されやすい)
3. threat superiority hypothesis(危険なものほど検出されやすい)
2つの実験(Inattentional blindnessタスク)は予期せぬ物体として線画と写真の両方を含んでいました。
この実験では参加者は物体を積極的に探すのではなく、自然に目に入った物体がどういう物体であったかということを測定しています。
2つの実験を通して支持されたのは、animate monitoring hypothesisでした。
つまり、私たちの注意は自動的に生物に向くようです。
もちろん、この研究で「ヘビ検出」に関する話は終わりということにはならないのですが、ひとまず「ヘビ検出」には否定的な研究もあるということは覚えておいても良いかもしれません。
参考文献:
Calvillo, D. P., & Hawkins, W. C. (2016). Animate objects are detected more frequently than inanimate objects in inattentional blindness tasks independently of threat. The Journal of general psychology, 143(2), 101-115.