スウェーデンにおける妊娠悪阻
1987年〜2005年の165万件の妊娠データ(スウェーデン)から妊娠悪阻(つわりの重症型)について分析した2016年の研究
低学歴の女性ほど妊娠悪阻を経験する可能性が高い(妊娠悪阻は母体の状態の悪さと関連)
妊娠初期(2ヵ月間)の妊娠悪阻は、女児出産の7%ポイント増加と関連
妊娠悪阻はトリヴァース・ウィラード仮説の近接メカニズムの可能性がある
出産は妊婦にとって大変辛いものですが、出産の瞬間以外、つまり妊娠中にも妊婦を苦しめるものがあります。
そう、「つわり」です。
中には、つわりが重症化した妊娠悪阻を経験する方もいます。
今回は、妊娠悪阻が適応的な機能を果たしている可能性について考えてみましょう。
1987年〜2005年の165万件の妊娠データ(スウェーデン)から妊娠悪阻について分析した2016年の研究によれば、低学歴の女性ほど妊娠悪阻を経験する可能性が高いことがわかりました。
つまり、妊娠悪阻は母体の状態の悪さと関連していたというわけです。
また、妊娠初期(2ヵ月間)の妊娠悪阻は、女児出産の7%ポイント増加と関連していました。
これらの結果は、妊娠悪阻がトリヴァース・ウィラード仮説の近接メカニズムである可能性を示唆しています。
つわり(妊娠悪阻を含め)を適応的な観点から捉えている研究はたくさんありますので、気になる方は、参考文献の中に含まれている先行研究をご覧ください。
参考文献:
Almond, D., Edlund, L., Joffe, M., & Palme, M. (2016). An adaptive significance of morning sickness? Trivers–Willard and Hyperemesis Gravidarum. Economics & Human Biology, 21, 167-171.