比較される幸せ
みんなでお金持ちになっても幸せにはなれない
「年収が増えれば幸せになれる」
そんな話がありますが、本当にそうでしょうか?
お金があれば生活は豊かになります。
しかし、今働いている人々の年収と幸福感を比較するのではなく、時代ごとの幸福感を比較すると面白いことがわかります。
Easterlin paradoxと呼ばれる現象は、GDPが増加しても人生の満足度は増加しないことを意味します。
GDPとは国内総生産のことで、国内で生み出されたモノやサービスの付加価値のことを意味します。
この現象には批判も多くありますが、大切なのは人々が幸福感を他者と比較して判断しているということです。
ここ数十年で、人々の生活の質は大幅に向上しました。
本来であれば(お金で幸せが買えるのなら)、同じように幸福感も大幅に増加するのでしょう。
しかし、幸福感とはあくまでも他者との比較なのでしょう。
ここに、進化心理学的な見方が可能になります。
ヒトは幸せになるようには作られていない!?でも紹介されたように、ヒトが感じる幸福感は時間の経過とともに元のレベルに戻ります。
つまり、幸せには絶対的な指標など(この年収でこれだけの幸せ)はなく、他者との比較や過去との比較により決まるものなのでしょう。
参考文献:
Clark, A. E., Frijters, P., & Shields, M. A. (2008). Relative income, happiness, and utility: An explanation for the Easterlin paradox and other puzzles. Journal of Economic literature, 46(1), 95-144.
以下の文献は誤って掲載された本文と関係ないものです。
以下の文献との差し替えとして、5/10/2021に上記の文献が追記されました。
Light, K. C., Grewen, K. M., & Amico, J. A. (2005). More frequent partner hugs and higher oxytocin levels are linked to lower blood pressure and heart rate in premenopausal women. Biological Psychology, 69(1), 5-21. doi:10.1016/j.biopsycho.2004.11.002