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他人の成功は運によるものか?能力によるものか?

刺激人物の成功と運への帰属、能力への帰属


性的帰属バイアス(Sexual Attribution Bias)について検討した2007年の研究
男女の参加者(20代前半)が同年代の他者(男女)の成功を運へ帰属させるのか能力へ帰属させるのか検討

他人の成功を素直に喜べることもあれば、妬ましいと思うこともあるように、ヒトの心はまさに多種多様ですが、何か一貫性はあるのでしょうか?


今回は、性的帰属バイアス(Sexual Attribution Bias)について検討している興味深い論文を見てみましょう。


男女の参加者(20代前半)が同年代の他者(男女)の成功を運へ帰属させるのか能力へ帰属させるのか調べた2007年の研究によれば、結果は以下の通りになりました。


女性参加者

→魅力的な女性の成功は運で説明、魅力的ではない女性の成功は能力で説明

→魅力的な男性の成功は能力で説明、魅力的でない男性の成功は運で説明


男性参加者

→魅力的な女性の成功は能力で説明、魅力的ではない女性の成功は運で説明

→魅力的な男性の成功は運で説明、魅力的でない男性の成功は能力で説明


つまり、ライバルとなりうる魅力的な同性の成功や繁殖の相手となりにくい魅力的でない異性の成功は運で説明されやすいのに対して、ライバルとならない魅力的でない同性の成功や繁殖の相手となりやすい魅力的な異性の成功は能力で説明されやすいということがわかったのです。


さらに興味深いのは、このバイアスは参加者が思春期前のターゲットを評価する場合には消失したこと(繁殖上の相手やライバルとなりにくい)やゲイの男性ではこの効果が逆転することです(女性参加者と同じ傾向が見られた)。


進化心理学の観点からバイアスを検討することの重要性がわかる研究ですが、文章だけの説明ではどうにも理解するのが難しいと思いますので、ぜひ原著論文の図をご確認ください。


参考文献:


Försterling, F., Preikschas, S., & Agthe, M. (2007). Ability, luck, and looks: An evolutionary look at achievement ascriptions and the sexual attribution bias. Journal of Personality and Social Psychology, 92(5), 775.

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