カマキリの性的共食い
自然下ではカマキリのメスがオスを交尾に関連して食べる(性的共食い)割合は13〜28%
オスを食べないメスは平均37.5個、オスを食べたメスは平均88.4個の卵を産んだ
カマキリのオスは食べられても遺伝子を多く残せるし、食べられなくても繁殖を繰り返せば多く遺伝子を残せる
「カマキリのメスは交尾中にオスを食べる」
そんな話を聞いたことはありませんか?
そんな話はこう続きます。
「遺伝子を残す為なのでオスは喜んで食べられる」
しかし、これは本当なのでしょうか?
こういう逸話が正しいかどうか判断するには実態を知るしか他ありません。
実は、「自然下ではカマキリのメスがオスを交尾に関連して食べる(性的共食い)割合は13〜28%」しか起こりません。
つまり、逸話として誇張されるほどオスは食べられていないのです。
しかし、「オスを食べないメスは平均37.5個、オスを食べたメスは平均88.4個の卵を産んだ」という研究からも明らかなように、オスを食べることは確かに遺伝子を多く残すことに意味があります。
つまり、結果として言えることはカマキリのオスは食べられても遺伝子を多く残せるし、食べられなくても繁殖を繰り返せば多く遺伝子を残せるということです。
そう考えると、「カマキリのオスは望んで食べられる」というような話は少し綺麗にしすぎた話なのかもしれません。
参考文献:
Hurd, L. E., Eisenberg, R. M., Fagan, W. F., Tilmon, K. J., Snyder, W. E., Vandersall, K. S., ... & Welch, J. D. (1994). Cannibalism reverses male-biased sex ratio in adult mantids: female strategy against food limitation?. Oikos, 193-198.
MAXWELL, M. R. (1998). Lifetime mating opportunities and male mating behaviour in sexually cannibalistic praying mantids. Animal Behaviour, 55(4), 1011-1028.
Brown, W. D., & Barry, K. L. (2016). Sexual cannibalism increases male material investment in offspring: quantifying terminal reproductive effort in a praying mantis. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 283(1833), 20160656.