どれだけのオスとメスが次世代の遺伝子プールに寄与するのか?
放し飼いされたアカゲザルの生涯繁殖成功度を調査した2014年の研究
オスは0〜47、メスは0〜16の範囲の子孫を持っていた
オスの生涯繁殖成功度の分散はメスの5倍であった
性成熟に達した個体のうち、17.4%のオス、4.5%のメスは全く繁殖しなかった
進化心理学の世界ではオスとメスが繁殖を目的として一生を終えると考えられることがあります。
そこから一歩進んで、「自然界では全ての生物が繁殖に寄与している」と思っている方は多いのではないでしょうか?
実は、自然界では全ての生物が繁殖に寄与できるというわけではありません。
例えば、個体が誕生してから性的成熟に達するまでに(それ以後ももちろん続くが)、自然淘汰は生存に不利な形質を持つ個体を積極的に排除します。
性成熟に個体が達したとしても、性淘汰が繁殖を困難にします(同性間競争や配偶者選択など)。
実例としては、放し飼いされたアカゲザルの生涯繁殖成功度を調査した2014年の研究を見てみると良いでしょう。
この研究によれば、オスは0〜47、メスは0〜16の範囲の子孫を持っており、オスの生涯繁殖成功度の分散はメスの5倍で、性的成熟に達した個体のうち、17.4%のオス、4.5%のメスは全く繁殖しなかったということがわかりました。
つまり、次世代の遺伝子プールに寄与することはオスにとってより難しいということです。
もちろん、種によってこの値には違いがあると考えられますが(配偶システムが異なる為)、全ての個体が繁殖を行うわけではないということは覚えておいた方が良いかもしれません。
参考文献:
Dubuc, C., Ruiz-Lambides, A., & Widdig, A. (2014). Variance in male lifetime reproductive success and estimation of the degree of polygyny in a primate. Behavioral Ecology, 25(4), 878-889.