共感の認知的コスト
ヒトは積極的に共感することを避けようとする
援助の必要が無くても共感を避けようとするのは共感それ自体が認知的コストがかかるからだと考えられる
「共感」をするのが難しい、そう思ったことはありませんか?
私たちヒトが共感するのが難しいのは、共感という単なる行動でも認知的コストがかかるからだと考えることができます。
2019年の研究では、ヒトがどれだけ共感することを避けようとするのかが調べられました。
この実験では参加者は「描写デッキ」もしくは「共感デッキ」を選択する必要がありました。
「描写デッキ」を選択すると参加者は表示される人物を描写する必要がありましたが、「共感デッキ」を選択するとその人物がどのように感じているのかを考える必要がありました。
その結果、共感デッキを選ぶ可能性は平均して35%だったことがわかりました。
つまり、援助の必要が無く、ただ共感をするだけでも多くの人がその選択をしないのは共感にかかる認知的コストを避けようとしているからだと考えることができます。
相手の気持ちになって考えられない。
その原因は少しでもコストを払いたくない、そんな生物の根本的な特徴を例外なく受け継ぐヒトだからでしょう。
参考文献:
Cameron, C. D., Hutcherson, C. A., Ferguson, A. M., Scheffer, J. A., Hadjiandreou, E., & Inzlicht, M. (2019). Empathy is hard work: People choose to avoid empathy because of its cognitive costs. Journal of Experimental Psychology: General, 148(6), 962.