痛みの不思議
ヒトは社会的動物であるが故に、疎外されると心の痛みを感じる
皆さんは仲間外れにされて心が痛くなったことはありますか?
実は心の痛みと体の痛みはリンクしていることがわかっています。
まずは、根拠からご紹介します。
自傷行為をすると、βエンドルフィンが放出されることがわかっています。
βエンドルフィンは痛みを和らげます。
自傷行為を求めるということは心に痛みを感じており、体の痛みを和らげるβエンドルフィンを使って心の痛みを和らげてる可能性があります。
さらに、インターネットゲームを用いた実験では体の痛みを感じる脳部位と心の痛みを感じる脳部位は同じだということがわかっています。
この実験の続きとして、鎮痛剤を毎日飲むと心の痛みを感じなくなることもわかっています。
このことから、心の痛みと体の痛みはリンクしているようですが、進化的な理由は存在するのでしょうか?
進化的には、ヒトは社会的な動物で、集団に所属する方が生存率や繁殖率が上がります。
つまり、仲間外れをされた時に心の痛みを感じないような個体の遺伝子は受け継がれなかったのです。
参考文献;
Stanley, B., Sher, L., Wilson, S., Ekman, R., Huang, Y.-Y., & Mann, J. J. (2010). Non-suicidal self-injurious behavior, endogenous opioids and monoamine neurotransmitters. Journal of Affective Disorders, 124(1-2), 134–140. doi: 10.1016/j.jad.2009.10.028
Eisenberger NI, Lieberman MD, Williams KD. Does rejection hurt? An FMRI study of social exclusion. Science. 2003;302(5643):290–292. doi:10.1126/science.1089134
Dewall CN, Macdonald G, Webster GD, et al. Acetaminophen reduces social pain: behavioral and neural evidence. Psychol Sci. 2010;21(7):931–937. doi:10.1177/0956797610374741