ガーナにおける子孫の質と量のトレードオフの証拠
出生率と死亡率が高いガーナの地域で子どもの数と生存率の関係を調べた2009年の研究
子どもの数が増えるにつれて子どもの生存率は2〜3%低下
子孫の質と量にはトレードオフの関係があると考えれます。
これは、有限な資源を多くの子孫に投資すれば、一人あたりが享受できる投資量は少ない子孫のグループが享受できる投資量より少なくなると考えられるからです。
しかし、これはあくまでも理論上の話で、実際にそのような関係が見られるのか、特にヒトにおいてそのような関係が見られるのかということについては実際のデータを見たことがある方はそこまで多くはないのではないでしょうか?
今回は、出生率と死亡率が高いガーナの地域で子どもの数と生存率の関係を調べた2009年の研究から、ヒトにおける子孫の質と量のトレードオフについて考えてみましょう。
この研究では2,461の子どもを持つ集団を調査しました。
その結果、子どもの数が増えるにつれて子どもの生存率は2〜3%低下することがわかりました。
数値に幅があるのは、資源のばらつきをコントロールした場合とそうでない場合などで値が若干変化する為です。
これは、現代人の集団においても子孫の質と量にはトレードオフがある証拠と言えます。
もちろん、先進国のように医療が発達した国においてはこの関係が弱まることは十分に考えられますが、EEAにおいては、子孫の質と量のトレードオフは私たちの心理形質や行動形質を築くのにあらゆる面で影響があったことを示唆するのではないでしょうか?
参考文献:
Meij, J. J., Van Bodegom, D., Ziem, J. B., Amankwa, J., Polderman, A. M., Kirkwood, T. B. L., ... & Westendorp, R. G. J. (2009). Quality–quantity trade‐off of human offspring under adverse environmental conditions. Journal of evolutionary biology, 22(5), 1014-1023.