仲間の成功とライバルの失敗
野球ファンの脳をfMRIで調べると、応援するチームが成功しても、ライバルチームが失敗しても喜びを感じることがわかった
反対に、応援するチームの失敗やライバルチームの成功は苦痛に感じる
仲間の成功を喜び、失敗を苦痛に感じるという脳のシステムはグループ間競争において有利に働く可能性があるということ
ファンというのは時として応援される人よりも熱くなってしまうことがあるのですが、私たちはなぜ、見ず知らずの他人に対してそこまで熱くなることがあるのでしょうか?
2011年の研究では、野球ファンがどのような時に喜びや悲しみを感じるのかが調査されました。
この研究では、野球ファンの脳をfMRIで調べたのですが、応援するチームが成功したり、ライバルチームが失敗することは喜びの感情を生み出しましたが、反対に応援するチームの失敗やライバルチームの成功は苦痛に感じることがわかりました。
つまり、私たちヒトは進化の長い歴史の中で「仲間の成功を喜び、ライバルの失敗を喜ぶ」、反対に「仲間の失敗に苦痛を感じ、ライバルの成功に苦痛を感じる」というような感情を用いて激しいグループ間競争を生き抜いてきた可能性があるということです。
参考文献:
Cikara, M., Botvinick, M. M., & Fiske, S. T. (2011). Us versus them: social identity shapes neural responses to intergroup competition and harm. Psychological science, 22(3), 306–313. https://doi.org/10.1177/0956797610397667