協調する感情ー病原体嫌悪感と短期的な性的関係に対する態度
病気の脅威が性的態度をどのように変化させるのか調べた2021年の研究
感染症がもたらす脅威は短期的な性的関係に対する好意的な態度を低下させる
「なぜ短期的な関係を嫌がる人がいるのか?」
進化心理学を少しでも齧ったことがある人ならそう疑問に思ったことはないでしょうか?
特に男性であれば、より多くの子孫を残す為には多くの人と短期的な関係を結んだ方が良いと考えられます。
しかし、今回は「感情は協調して適応問題を解決している」ということがわかる研究を例に考えてみましょう。
病気の脅威が性的態度をどのように変化させるのか調べた2021年の研究によると、「感染症がもたらす脅威は短期的な性的関係に対する好意的な態度を低下させる」ようです。
つまり、短期的に多くの人と性的な関係を結ぶことは感染症を避けるという観点からはオススメできない戦略であるということです。
ここで面白いのは、「生存」と「繁殖」というトレード・オフの関係が存在する為に、一方の適応問題を解決する為の感情が喚起されると、もう一方の適応問題を解決する為の感情が低減されるということです。
次世代に子孫を残すことも大切ですが、生きることも大切なわけです。
参考文献:
Moran, J. B., Kerry, N., Goh, J. X., & Murray, D. R. (2021). Parasites and promiscuity: Acute disease salience leads to more restricted sexual attitudes. Journal of Social and Personal Relationships, 38(11), 3333-3349.