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生まれた子どもの重要度

配偶努力と養育努力


年齢が高くなるほど、母親は配偶努力より養育努力を重要視するようになる
「配偶者としての価値が高い若い女性」は新しい配偶者を探すことに、「配偶者としての価値が低い年をとった女性」はすでに生まれた子どもを育てることにより力を注ぐということ

気のせいかもしれませんが、映画やドラマに出てくる「子どもに冷たく当たる母親」というのはほとんどが「若い母親」という気がします。


本当に、「若い母親」は子どもに冷たく当たるのでしょうか?


進化心理学の研究は、母親の年齢と子どもの養育態度に関して興味深い関係を明らかにしています。


2012年の研究によると、「年齢が高くなるほど、母親は配偶努力より養育努力を重要視するようになる」ということがわかりました。


配偶努力とは新しい配偶者(異性)を獲得する為に行われる努力のことで、養育努力とはすでに生まれた子どもを育てる為に行われる努力のことです。


この研究が意図するところは、年をとった母親ほど子どもに時間やエネルギー、資源を割く(投資する)ということです。


なぜそうなるのか、主観を排除して論理的に考えてみましょう。


「若い母親」と「年をとった母親」はどのような戦略に出ると最も子どもの数を増やすことができるのでしょうか?


「すでに生まれた子どもを養育することは、より優れた配偶者やその配偶者との間に生まれる子どもを犠牲にする」ことに繋がり、「より優れた配偶者を求めることはすでに生まれた子どもの養育を犠牲にする」という点が重要です。


つまり、「若い母親」は配偶者としての価値が高いので、すでに生まれた子への養育よりも新しい配偶者を探すことに尽力するという戦略が適応的だと考えられます。


反対に、「年をとった母親」は配偶者としての価値が低いので、すでに生まれた子どもを養育することの重要性が高くなります。


「若い母親」が子どもをあまり育てようとしないのは、それが適応的な戦略だからであり(少なくとも祖先の環境では)、「年をとった母親」が子どもを大切に育てるのはそれが適応的な戦略だから(少なくとも祖先の環境では)なのです。


参考文献:


Schlomer, G. L., & Belsky, J. (2012). Maternal age, investment, and parent-child conflict: a mediational test of the terminal investment hypothesis. Journal of family psychology : JFP : journal of the Division of Family Psychology of the American Psychological Association (Division 43), 26(3), 443–452. https://doi.org/10.1037/a0027859

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