SPOT効果(Spontaneous Preference for their Own Theories)の検証
SPOT効果について検討した2017年の研究
人には自己と理論の間の名目的な結びつき(ある理論が自分のものであるとの想像)さえあれば、その理論を真実であると考える傾向があることが判明
私たちは生まれてから死ぬまで、さまざまな仮説検証を行い、世界を理解しようとします。
「太陽は東から昇り、西に沈む」とか「ボールから手を離せば、地面に落ちる」などです。
もし、明日の朝、太陽が西から昇るのを目撃したり、ボールから手を離したのに、空中にボールが浮かび続けるのを見た人は、自分の以前の知識を修正するでしょう。
では、私たちが理論や仮説を信用するのは、その理論や仮説が実質的に意味があるからなのでしょうか?
今回はSPOT効果について検討した2017年の研究を見てみましょう。
SPOT効果とはSpontaneous Preference for their Own Theoriesの頭文字を取っており、直訳すれば「自説への自発的な選好」という意味です。
この研究によれば、人には自己と理論の間の名目的な結びつき(ある理論が自分のものであるとの想像)さえあれば、その理論を真実であると考える傾向があることが判明しました。
この研究が興味深いのは、自己と理論の結びつきが、その理論が自分のものであると想像するだけという、いわゆる「最小条件」であるということです。
自分が信じている理論や仮説の中には、自分がその理論や仮説とたまたま出会ったから信じてしまっているものもあるかもしれないと考えると、今一度自分が信じている理論や仮説を検討する良い機会になるかもしれません。
参考文献:
Gregg, A. P., Mahadevan, N., & Sedikides, C. (2017). The SPOT effect: People spontaneously prefer their own theories. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 70(6), 996-1010.