身体的魅力と実際の健康
National Longitudinal Study for Adolescent Healthを用いて身体的魅力と様々な健康指標および総合的な健康指標との関係を調べた2014年の研究
魅力的と評価された人ほど、さまざまな慢性疾患や神経心理学的障害と診断される可能性が低い
知覚された魅力が健康の表現型マーカーであることを支持
進化心理学の中では、ある形質が選好されるかどうかは、その形質が適応度を高めるかどうかが重要だと考えられています。
その特定の形質が適応度を上昇させるのであれば、その形質は選択される可能性が高いというわけです。
話を身体的魅力に移してみると、ある人物が魅力的と評価されるかどうかは、その人物が健康的かどうかに依存すると考えられています。
つまり、個人が病気や感染症に強い遺伝子を持っているということが他者に知覚される為に、身体的魅力という指標が用いられている可能性があるわけです。
実際に2014年の研究ではNational Longitudinal Study for Adolescent Health (N≈15,000; 25-34歳) のデータを用いて、身体的魅力が様々な健康指標および総合的な健康指標との関係するのかを調べました。
その結果、回帰モデルによると、様々な交絡因子を制御した上で、身体的魅力と様々な健康尺度との間に強固な関連性があることがわかりました。
つまり、魅力的と評価された人ほど、さまざまな慢性疾患や神経心理学的障害と診断される可能性が低いということです。
この結果は男女で見られ、知覚された魅力が健康の表現型マーカーであることを支持しています。
「見た目で人を判断する」というのはどのような遺伝子を持っているのか、目に見えない遺伝子を“見る”方法というわけです。
参考文献:
Nedelec, J. L., & Beaver, K. M. (2014). Physical attractiveness as a phenotypic marker of health: an assessment using a nationally representative sample of American adults. Evolution and Human Behavior, 35(6), 456-463.