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男性はなぜ誰に対して攻撃的なのか?

男性の攻撃性と異性獲得の為の同性間競争


男性の攻撃性を異性獲得と同性に対する社会的優位性という観点から検討した2012年の研究
交配のプライミングを受けた男性参加者は女性ではなく男性に対してより攻撃的になった
また、すでに自身の社会的優位性が他の男性よりも高い場合には、男性が他の男性に対してより攻撃的になることはなかった
男性の攻撃性の根底には異性を獲得するという目的の為に他の男性に対して自身の優位性を示したいという動機が存在する可能性を示唆

男性が加害者で女性が被害者の事件が起きると、女性に対する男性の攻撃性が注目されることがあります。


しかし、男性は本当に女性に対して攻撃的なのでしょうか?


今回は、男性の攻撃性について進化心理学的な観点から考えてみましょう。


2012年に行われた研究では、男性の攻撃性を「異性獲得」と「社会的優位性」という観点から複数の実験を行いました。


簡単に実験の内容をご紹介すると、以下のようになります。


参加者は相手(同性もしくは異性)よりも素早く反応することが求められるタスクに参加します。それぞれの試行で、敗者は苦痛を伴うホワイトノイズを聴かなければなりません。ホワイトノイズの音量と時間はそれぞれの試行前に参加者が決定します。


つまり、ホワイトノイズの設定を攻撃性の指標にするわけです。また、実験の過程で一部の参加者はmating primeを受けます。これは、異性獲得の感情を喚起させる作業です。さらに、参加者の中にはパートナーより自身が社会的に優位であるという情報を受け取る条件に割り振られた人たちもいました。


その結果、(1)交配のプライミングを受けた男性参加者は女性ではなく男性に対してより攻撃的になったが、(2)すでに自身の社会的優位性が他の男性よりも高い場合には、男性が他の男性に対してより攻撃的になることはなかったということがわかりました。


つまり、男性の攻撃性の根底には異性を獲得するという目的の為に他の男性に対して自身の優位性を示したいという動機が存在する可能性がこの研究からは示唆されるわけです。


社会的優位性が獲得できるのであれば、それが暴力であっても名声などの別の手段であっても良いのです。


参考文献:


Ainsworth, S. E., & Maner, J. K. (2012). Sex begets violence: Mating motives, social dominance, and physical aggression in men. Journal of personality and social psychology, 103(5), 819.

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