女性の自己評価による魅力と性的二型、対称性の好み
女性の自己評価による魅力と男性の顔に対する選好の関係を調べた2001年の研究
自分を魅力的だと思う女性は(そう思わない女性に比べて)男らしい顔と対称的な顔に対する選好が高かった
配偶価値が低い女性は子どもに対する投資が減少するリスクを回避している可能性を示唆
進化心理学に対する理論的な懸念の1つに進化心理学者が男性や女性という性別を一括りに捉えており、個人差を十分に検討していないというものがあります。
この指摘は進化心理学の多くの研究が個人差変数を仮定していることから的外れだと思う一方、研究者(の流派)によっては個人差に注目しない(少なくとも初期の進化心理学研究では注目しなかった)ことを考えると一理あるなと感じてしまう部分もあります。
そこで、今回は同じ性別(女性)でも選好が異なる例を示し、なぜそのような結果が得られるのかについて考えてみましょう。
女性の自己評価による魅力と男性の顔に対する選好の関係を調べた2001年の研究では、自分を魅力的だと思う女性は(そう思わない女性に比べて)男らしい顔と対称的な顔に対する選好が高かったことがわかりました。
(性的二型について述べると)男性的な顔は遺伝的な資質を反映する(表現型)と考えられていますが、一方で低い親の投資に関連づけられています。
つまり、女性はトレードオフに悩まされるわけです(Good gene or Good dad問題)。
一方、男性視点に立つと、低い親の投資を行おうとする男性(男らしい顔の男性)が魅力的な女性から別の女性に乗り換えるか、魅力的でない女性から別の女性に乗り換えるかという問題を抱えます。
その時、(男性からするとより良い女性からより悪い女性へ切り替えることはメリットが少ないと考えられる為)魅力的な女性は別の女性に乗り換えられるリスクが低いと考えられ、魅力的な女性は男らしい男性の顔を好む"余裕"がある可能性が示唆されるわけです。
同様に、男らしい顔を配偶価値が低い女性が好まないのは子どもに対する投資が減少するリスクを回避している可能性があるというわけです。
女性が性的二型が抱えるトレードオフにどのように対処しているかは多くの研究が行われていますので、気になる方はぜひ参考文献を引用している論文から探してみてください。
参考文献:
Little, A. C., Burt, D. M., Penton-Voak, I. S., & Perrett, D. I. (2001). Self-perceived attractiveness influences human female preferences for sexual dimorphism and symmetry in male faces. Proceedings of the Royal Society of London. Series B: Biological Sciences, 268(1462), 39-44.