エネルギーとリスクのトレードオフ
男性と女性がどのような採食に関心があるのか3つの集団(Aché, Martu and Meriam)で調べた2011年の研究
高エネルギー資源を確実に獲得できる場合は男女の採食に対する関心は収束
高エネルギー資源が高レベルのリスクと関連している場合には男女の男女の採食に対する関心は乖離
女性はリスクの最小化に重点を置くのでより少ない利益を受け入れるが、男性は利益の最大化に重点を置くのでより多くのリスクを求めることを示唆
エネルギーとリスクのトレードオフ
男女が協力して食料をとってこなければいけないような世界では、男性と女性はどのようにリスクや利益(エネルギー)を管理するのでしょうか?
男性と女性がどのような採食に関心があるのか3つの集団(Aché, Martu and Meriam)で調べた2011年の研究を見てみましょう。
この研究では、採食行動、エネルギー、リスクの関係を男女で比較しています。
その結果、高エネルギー資源を確実に獲得できる場合は男女の採食に対する関心は収束するが、高エネルギー資源が高レベルのリスクと関連している場合には男女の男女の採食に対する関心は乖離することがわかりました。
これは、女性はリスクの最小化に重点を置くのでより少ない利益を受け入れるが、男性は利益の最大化に重点を置くのでより多くのリスクを受け入れることを示唆しています。
なぜこの結果が興味深いと言えるのでしょうか?
それは、3つの集団で男女の分業が行われていることはこの研究からもわかるのですが、その背景を説明する要因として、現代でよく言われる要因(家父長制や女性差別など)を用いずともリスクやエネルギーの分散という、生態学に密接に結びついた要因で説明が可能だということです。
参考文献:
Codding, B. F., Bird, R. B., & Bird, D. W. (2011). Provisioning offspring and others: risk–energy trade-offs and gender differences in hunter–gatherer foraging strategies. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 278(1717), 2502-2509.