1916年〜1999年のヴォーグ誌(英国)のデータ
1916年〜1999年のヴォーグ誌(英国)に掲載された衣服について肌の露出度とGDPの関係を調査した2005年の研究
経済状況が悪い時期には、女性の性的広告(肌の露出)が増加するという予測を支持(経済が厳しいと質の高い男性を得る為の女性同士の争いが激化することを示唆)
心理学の研究の面白いところは、さまざまなデータを集め、仮説を検証していくということにあります。
例えば、性的広告はどのような変数によって増減するのでしょうか?
仮に、性的広告が異性の意見を反映していたり、家父長制によって引き起こされるのであれば、性的広告の数の変化と異性の意見の変化や家父長制の変化などのデータを集め、比較する必要があるでしょう。
重要なのは(少なくとも心理学の研究として捉えるのであれば)、ある特定の現象(この場合は広告)について判断を下したりせず、データを集め、仮説や予測を検証するということなのです(実際には、仮説や予測の支持・不支持のプロセスはもっと複雑ですが、心理学の研究は1にもデータ、2にもデータということです)。
1916年〜1999年のヴォーグ誌(英国)に掲載された衣服について肌の露出度とGDPの関係を調査した2005年の研究では、経済状況が悪い時期には、女性の性的広告(肌の露出)が増加するという予測を支持されました。
これは、経済が厳しいと質の高い男性を得る為の女性同士の争いが激化することを示唆しています。
少し悩ましいところは、この研究では大手雑誌のデータを扱っているので、経済状況が厳しい場合には雑誌が単に性的な衣服を扱う可能性が増加するということも考えられます。
それでも、女性同士の競争という観点で女性の服装が変化する(露出が多くなる)ということは他の研究でも指摘されていますので、この研究結果は重要な意味を持つと思われます。
そうなると気になるのは、他の雑誌や他の国でも同様の結果が得られるのかということです。
さて、性的な広告は誰の意見を反映しているのでしょうか?
参考文献:
Hill, R. A., Donovan, S., & Koyama, N. F. (2005). Female sexual advertisement reflects resource availability in twentieth-century UK society. Human Nature, 16, 266-277.