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きょうだいを助けない場合

生殖が制限されたきょうだいに対する利他性


利他的行動のコストが増加した場合...
統合失調症を患っているきょうだいは助けられる可能性が低い
ひどく痩せているきょうだいは助けられる可能性が低い
同性愛者や両性愛者のきょうだいは助けられる可能性が低い

兄弟姉妹の価値は同じでしょうか?


そんなことをはっきりと聞かれると、「もちろん、きょうだいの価値は平等です」と答えてしまいそうですが、進化心理学者はそれでは満足しません。


少し、意地悪な方法できょうだいの価値を測るのです。


その方法とは、利他的行動(援助行動)をどれくらい行う可能性があるかを数値で尋ねるわけです。


その数値を比較することにより、きょうだいの“価値”を測るわけです。


2009年の研究では、利他的行動のコストが増加した場合、統合失調症を患っているきょうだいやひどく痩せているきょうだい、または同性愛者や両性愛者のきょうだいは助けられる可能性が低いことがわかりました。


これは、血縁者を助ける動機の中でも重要な包括適応度(自分の遺伝子が直接の子どもではなく、血縁者を通して次世代に伝えられる程度)が生殖が制限される要因によって影響を受けるからだと考えられます。


つまり、統合失調症や不健康、または異性愛者ではないきょうだいを通しては、次世代に遺伝子を残せる可能性が減少する為に、コストの高い利他的行動(援助行動)を行うモチベーションが低くなってしまうというわけです。


この研究は実際の利他的行動を測定したわけではない点には注意が必要ですが(実験では大学生が仮想シナリオにて回答した)、血縁者を含めた他者に対する利他的行動と包括適応度に関する理論の関係を深く理解する上で重要な研究でしょう。


参考文献:


Fitzgerald, C. J., & Colarelli, S. M. (2009). Altruism and Reproductive Limitations. Evolutionary Psychology. https://doi.org/10.1177/147470490900700207

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