集合体恐怖症と病気
集合体恐怖症を持つ人々とそうでない人々のクラスター刺激に対する嫌悪感を調べた2018年の研究
集合体恐怖症群を持つ人々もそうでない人々も病気に関連するクラスター刺激に対する嫌悪感を報告したが、病気に関連しないクラスター刺激に対する嫌悪感を報告したのは集合体恐怖症群を持つ人々だけであった
集合体恐怖症は寄生虫や感染症を避けるという適応的な反応を過剰に一般化したものである可能性を示唆
みなさんは集合体恐怖症(trypophobia)を知っていますか?
イタズラで友人から集合体の画像が送られてきて、気持ち悪さを感じた人も多いのではないでしょうか?
なぜ、集合体は気持ち悪いのでしょうか?
インターネットで「集合体恐怖症」とか「trypophobia」と検索すると(おすすめはしませんが)蓮の画像が出てきたり、カエルの卵の画像が出てきたります。
こんな画像ばっかりを見てると、なぜ私たちヒトの中に集合体を避けようとする人々がいるのか理解するのが難しいかもしれません。
蓮を避けたり、カエルを避けたりすることが適応的だとは考えづらいからです。
しかし、水疱瘡を思い浮かべるとどうでしょうか?
私たちが病気になると、皮膚の表面にぶつぶつができることがあります。
病気になった人々を避けることが適応的であるなら、皮膚にぶつぶつを持つ人々を避けることは適応的であったのではないでしょうか?
集合体恐怖症を持つ人々とそうでない人々のクラスター刺激に対する嫌悪感を調べた2018年の研究を見てみましょう。
この研究では、集合体恐怖症群を持つ人々もそうでない人々も病気に関連するクラスター刺激に対する嫌悪感を報告したが、病気に関連しないクラスター刺激に対する嫌悪感を報告したのは集合体恐怖症群を持つ人々だけであったことがわかりました。
つまり、集合体恐怖症は寄生虫や感染症を避けるという適応的な反応を過剰に一般化したものである可能性を示唆しているわけです。
参考文献:
Kupfer, T. R., & Le, A. T. (2018). Disgusting clusters: trypophobia as an overgeneralised disease avoidance response. Cognition and Emotion, 32(4), 729-741.