チェスと持ち時間
180万件を超える国際チェス連盟のデータを用いて成績の性差を調べた2020年の研究
スタンダード、ラピッド、ブリッツという時間制限の異なるゲームを分析
時間制限は男性プレイヤーよりも女性プレイヤーの成績に負の影響を与えることが判明
つまり、同程度の腕前であっても、時間制限が厳しいほど女性プレイヤーの成績は男性プレイヤーの成績を下回っていた
勝負の世界では一瞬の気の迷いが勝敗を分けることがあります。
さて、時間的なプレッシャーに強いのは男性でしょうか?女性でしょうか?それとも差はないのでしょうか?
180万件を超える国際チェス連盟のデータを用いて成績の性差を調べた2020年の研究では、スタンダード、ラピッド、ブリッツという時間制限の異なるゲームを分析しています。
その結果、時間制限は男性プレイヤーよりも女性プレイヤーの成績に負の影響を与えることが判明しました。
つまり、同程度の腕前であっても、時間制限が厳しいほど女性プレイヤーの成績は男性プレイヤーの成績を下回っていたというわけです。
この研究の面白いところは、男性と女性の成績の差を男女の"知能の差"という観点ではなく、時間的な制約という観点から検討しているところです。
性差は意外なところに隠れているかもしれないのです。
参考文献:
Dilmaghani, M. (2020). Gender differences in performance under time constraint: Evidence from chess tournaments. Journal of Behavioral and Experimental Economics, 89, 101505.