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血の繋がりのない父と子

ヒンバ族の例


父親と血の繋がりの無い子どもがどれだけいるのかヒンバ族で調べた2020年の研究
ヒンバ族におけるつがい外父性(EPP: extrapair paternity)の割合は48%
70%の夫婦が少なくとも1人のEPPの子どもを持つ
ヒンバ族は父性の確信度が高く、男性は73%の割合で、女性は72%の割合で父性を正しく推定

こんな場面を想像してください。


Aさんの友人に新しく赤ちゃんが生まれました。「おめでとう!」と言いながら、赤ちゃんをそっと腕に抱いたAさんは「この子、可愛いね。ちょっと母親似だね。お父さんには少し似ていない気がするけど」と言いました。すると、友人は「実は、お父さんが違うんだよ」と答えました。


もしあなたがAさんなら、びっくりしてしまいませんか?


多くの人にとって、父親と子どもに血の繋がりがないということは驚きを隠せないことで、それはあってはいけないことと考える方もいるかもしれません。


しかし、「父親と血の繋がりの無い子ども」というのはとても珍しく、ヒトにとってあり得ないことなのでしょうか?


父親と血の繋がりの無い子どもがどれだけいるのかヒンバ族で調べた2020年の研究によれば、ヒンバ族におけるつがい外父性(EPP: extrapair paternity)の割合は48%であることがわかりました。


これは、非常に高い数値で、70%の夫婦が少なくとも1人のEPPの子どもを持つようです。


さらに興味深いのは、ヒンバ族は父性の確信度が高く、男性は73%の割合で、女性は72%の割合で父性を正しく推定していました。


つまり、ヒンバ族では、夫婦が育てている子どもの中には、夫と血の繋がりの無い子どもも多くいますが、男性も女性もそれを認識しているというわけです。


EPPは稀な現象なのか、よくあることなのか、女性はEPPを隠し、男性はEPPを避けるのか、(幸か不幸か)この研究のおかげで謎は深まるばかりです。


参考文献:


Scelza, B. A., Prall, S. P., Swinford, N., Gopalan, S., Atkinson, E. G., McElreath, R., ... & Henn, B. M. (2020). High rate of extrapair paternity in a human population demonstrates diversity in human reproductive strategies. Science Advances, 6(8), eaay6195.

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