6つの死亡率指標と出生時性比
出生時平均余命、健康寿命、成人死亡率、乳児死亡率、5歳未満児死亡率、妊産婦死亡率と出生時性比の関係を調べた2011年の研究
出生時平均余命と健康寿命は出生時性比と正の関係、成人死亡率、乳児死亡率、5歳未満児死亡率、妊産婦死亡率は出生時性比と負の関係が見られた(緯度、出生率、GDPを統制しても有意)
トリヴァース・ウィラード仮説は進化心理学の中でもよく取り上げられる仮説ですが、ヒトにおいてどれだけ当てはまるのかは議論があると思います。
今回は、出生時平均余命、健康寿命、成人死亡率、乳児死亡率、5歳未満児死亡率、妊産婦死亡率と出生時性比の関係を調べた2011年の研究を見てみましょう。
トリヴァース・ウィラード仮説には様々な考え方があるのですが、共通しているのは「状態が良い母親は息子に多く投資する」というものでしょう。
出生時平均余命と健康寿命は出生時性比と正の関係、成人死亡率、乳児死亡率、5歳未満児死亡率、妊産婦死亡率は出生時性比と負の関係が見られることが、世界中の国レベルで明らかになりました(性比は基本的にはm/fで表されますので、1を超えると男児が多い、1を下回ると女児が多いことを意味します)。
さらに、これらの効果は緯度、出生率、GDPを統制しても有意でした。
トリヴァース・ウィラード仮説を支持する結果となったわけです。
母親の状態が息子を産みやすいか娘を産みやすいか決めるなんて、なんだか不思議ですね(ヒト以外の種での結果やメカニズムに興味がある方はトリヴァース・ウィラード仮説について調べてみてください)。
参考文献:
Dama, M. S. (2011). Sex ratio at birth and mortality rates are negatively related in humans. PLoS One, 6(8), e23792.