平均余命、即時的な報酬、女性の初産年齢
46ヵ国のサンプルを用いて、平均余命、即時的な報酬、女性の初産年齢の関係を調べた2017年の研究
平均余命が低い国ほど、より大きな報酬の為に待とうとする人が少なくなる
平均余命が低い国ほど、初産年齢が若くなる
進化心理学には面白いところがたくさんあります。
環境の影響によるヒトの心理や行動の変化について仮説や予測を立て、実際に検証していくことは進化心理学の醍醐味の一つかもしれません。
例えば、「死亡率」を挙げてみましょう。
死亡率が高い環境では生物はどのように行動すべきなのでしょうか(ここで言う“すべき”とは、適応の観点からという意味です)?
将来の投資について考えてみると、死亡率の高い環境では将来の投資が報われない可能性が高まるので、そのような投資を行う意欲や行動が低下するかもしれません。
しかし、ここで終わってしまえば、ただの仮説を立てただけになりますので、実際に仮説が確かめられるかどうか検証する必要があります(以下の研究は死亡率ではなく、平均余命を変数として扱っています)。
今回は、46ヵ国のサンプルを用いて、平均余命、報酬、女性の初産年齢の関係を調べた2017年の研究を見てみましょう。
その結果、平均余命が低い国ほど、より大きな報酬の為に待とうとする人が少なくなることや平均余命が低い国ほど、初産年齢が若くなることが確認されました。
やはり、死亡率が高い(平均余命が低い)ほど人々の心理は加速するようです。
参考文献:
Bulley, A., & Pepper, G. V. (2017). Cross-country relationships between life expectancy, intertemporal choice and age at first birth. Evolution and Human Behavior, 38(5), 652-658.